テレビ会議が普及し始めた20年前は、ほとんどのオフィスで、1つの会議室にIT・AV関連の機器をまとめていました。しかし現在では、ZoomやMicrosoft Teamsなどのソフトウェアベースのプラットフォームが急増したこと、また高解像度に対応した大型ディスプレイが安価で購入できるようになったことから、オフィス全体に複数の小型会議スペースを設ける企業が増えてきています。さらに、リモートワークの増加に伴いあらゆる接続先へ優れた会議体験を拡張する必要性が生まれています。
IT担当は、自宅やカフェ、コワーキングスペース、さらには車内で仕事をする従業員をサポートするようになっています。こうした中でIT担当に求められることは、会議の参加者全員のコラボレーション体験を可能な限り一貫したものにするため、「ミーティングエクイティ」や「エクスペリエンスパリティ」を実現できるよう努めることです。
オフィス側の参加者もリモート参加者も双方が一体感を持ってスムーズな会議ができるようにするためには、適したデバイスとソリューションが必要です。例えばオフィスの会議室は、デスクや天井に埋め込みマイクを設置することで室内のカバレージを最適化し、さらにスピーカーを聞き手の近くに置くことで不要な反響を抑えて、より明瞭な音声で会話ができるようにします。映像は、高解像度カメラを目線の高さに設置することで、オフィスの参加者とリモートの参加者の間のより自然な一体感を創出します。このように、マイク・カメラ・スピーカーというそれぞれのコンポーネントがコミュニケーションの一貫性を支えます。
さらに、Bose ProfessionalのVideobar VB1のようなオールインワンビデオ会議ソリューションなどであれば、マイク・カメラ・スピーカーが1つ収められており音声も映像も一貫した品質をこの1台で実現できます。その上、可搬性が高くどこでも使えることから、オフィスに限らずリモート側でもオフィスの会議室と同じ機能を場所を選ばず広く利用できます。
オフィスとリモートをつなぐ会議プラットフォームの互換性は極めて重要です。現在の一般的なプラットフォームはコーデックであるため、ネットワークやインターネット上での互換性は容易に確保できます。そこでIT担当の課題となるのは、リモート環境下での通信品質です。この課題は、高解像度のビデオが主流になるにつれて、深刻になっていきます。例えば、HDのZoom会議では安定した映像通信を確保するのに上下2Mbpsの帯域幅が必要ですが、さらに4K映像には20Mbps近くの広い帯域幅が必要になります。
とはいえ、社内のIT担当がローカルブロードバンドサービスを改善することはできませんが、通信品質を最適化するヒントを社員に提案し、リモートワークをサポートすることはできます。たとえば、ビデオ会議中の個々のやりとりはスマートフォンのSMSメッセージでするよう薦めることで、会議中のインターネット接続の負荷を軽減することができます。もう一つのヒントは、リモートの社員に自宅のルーターのQoS(Quality of Service)機能を調整してWi-Fi通信データの優先順位をつけてもらうことです。スマートスイッチを装備したルーターであれば、ポートごとにQoS設定が可能なため、「高」または「標準」キューにすることで仕事に必要な通信を優先することができます(注意: 一部のISPでは、データ制限を防ぐために追加料金がかかる場合があります)。
さらに接続性について考えると、将来的に従業員はオフィスとリモートを定期的に行き来するようになることから、どちらの場所でもスムーズに接続できる柔軟性が求められるようになるでしょう。例えば、ノートPCのドッキングステーションや接続を高速化するソリューションなど、接続しやすいシステムをオフィスとリモート両方の環境で検討する必要があります。
新型コロナウイルス以降、就労環境の多様化と分散は今後も続いていくと考えられ、その上でリモートワークテクノロジーは日々の業務においてますます不可欠なものになっていくでしょう。IT担当は、幅広いオーディオおよびビデオソリューションの選択肢から、コラボレーションを促進し職場や同僚とのつながりを維持できるソリューション提案が求められます。