特にオフィス勤務とリモート勤務の社員からなるハイブリッドワークではビデオ会議は日々の業務で不可欠なコミュニケーションツールであり、音環境はその品質・体験に大きな影響を与えます。例えば、周囲のノイズのせいでお互いの声が聞きづらい(または明瞭に聞こえない)と逐一聞き返したり、そう何度も聞き返すわけにもいかず遠慮したまま結局内容がよく理解できなかった…という事になりかねません。
会議室の音響面の課題を解決するには時間をかけて多層的にアプローチすることが必要です。特に、従業員の間で不満が募っているにもかかわらず、経営陣がスペースの再構築や必要なソリューションへの投資をためらっている場合などは、経験豊富なコンサルタントに正式な調査を依頼し、問題のある部屋に対する具体的な提案を作成してもらうのが有効なケースもあります。しかし、それとは別に、会議室の音響の改善に非常に有効な対処法があります。それが以下の5つの対処法です。
多くの企業では、硬く、平らな表面の洗練されたデザインの家具が好まれますが、これが会議室で音響的な問題を引き起こす主な原因の一つです。表面が硬いと、人の声や紙をめくる音、イスを引く音などがその面で反射します。そうした小さなノイズの反射が室内で繰り返されると、誰もいない時とは比べ物にならないほど大きな反響になります。こうした現象を防ぐために、布張りや布製カバーのついた柔らかい素材の家具を選べば、部屋中に響く音を吸収し反響を抑える効果があります。
布張りの家具と同じように、床や窓、壁などの硬い表面をカーペットやカーテンで覆うことで音環境を改善できます。特にカーペットは目立たないため、内装の美観を重視する企業でも導入しやすいオプションです。ドレープカーテンなどは、大型の窓やガラスパネルのある会議室では大きな効果が期待できます。また、音を吸収しやすい生地で作られた吸音カーテンもあります。ビデオ会議の際にはカーテンを閉めるよう心がけ、必要に応じてすぐ開閉できるように会議室のコントロールパネルにリモコン機能を追加しておくと便利でしょう。
さらに、吸音パネルを設置して、室内の反射音を吸収することもできます。こうしたパネルはデザイン性が高いものも多く、会議室の内観に合わせて選択できます。さらに、同じく室内の反響面を減らすことのできる専用の音響ドアパネルなどもあります。また、天井から吊り下げるタイプの音響パネルも室内の反響防止に効果的です。また、音響照明ソリューションにも、同じ目的で使用できる魅力的なものが各種存在します。
吊り天井は、音響を優先するために外観を妥協することになりますが、ビデオ会議の聞き取りづらさの原因となる不要な反響を軽減することができます。天井が高いほど、室内で音が反響する表面積が大きくなります。防音タイルで吊り天井を作り空間の表面積を小さくすることで、会議スペースの音の反射を抑制することができます。また、新しく会議室を設計する場合や大幅な改修を検討している場合には、防音壁の導入をおすすめします。
使用する会議ソリューションも、会議の音響の質に影響を及ぼします。現在使用しているテクノロジーを見直し、ハイブリッド環境での有効性を見直すとよいでしょう。たとえば、Bose ProfessionalのVideobar VB1は、音声を検出して収音しノイズは除去する6つのビームステアリングマイクや、すべての参加者に最適な音声を届ける自動EQ機能を搭載しています。さらに、収音除外ゾーンを設定することもできます。この機能は、あらかじめノイズ源となる空気清浄機や窓際・通路など特定のエリアを収音しないように設定しておくことができる機能です。さらに、参加者が部屋に入ってくる時に、廊下から聞こえてくる音を除外するようカスタマイズすることもできます。こうしたノイズ抑制機能を活用すれば、ビデオ会議にリモート参加している相手もこちらの発言を聞き取りやすくなり、全員が同じ部屋にいるような一体感を感じることができます。